電電学生の脳内メモ帳.

電気電子工学生の脳内メモです。

Thaiphoon BurnerでDDR4メモリのSPD情報を書き換える方法

 

  大学院入試やら色々やっていたら三か月ほど放置してしまいました。実際にSPD編集の作業を行ってから半年ほど経ってしまっていますが、思い出しつつまとめていきます。読みづらい部分も多いかと思いますがご容赦ください。

 

  今回はこちらのPatriot Viper Steel DDR4 16GBx2 XMP3200MHz 定格2666MHzのSPD情報を編集し、定格2133MHzに変更(2666MHz/2400MHzの情報を削除)しました。

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Patriot Viper Steel PVS432G360C8K

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作業前のSPD情報

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作業後のSPD情報

 今回はダウンクロックを行いましたが、同様の手順で2666MHz→3200MHzのようにオーバークロックも可能です。もちろん安定するかどうかは別ですが…

ちなみに今回の作業はAsRock Z390 Pro4を使って行いましたが、この手法であればメモリOC非対応のマザーボードでも限定的ですがメモリOCが可能だと思われます。

 

 今回紹介する内容はThaiphoon Burnerの公式サイトで紹介されているものとほとんど同じものになりますので、併せてご確認ください。あちらはDDR3メモリ向けですが、DDR4の場合でも手順はほぼ同じのようです。

また作業前の注意としてはSPDデータの書き込み保護が無効かどうか(Thaipoon Burner DEMOでチェック可能)、実際の書き換え作業には有料版($26)のThaipoon Buner Super Blasterが必要になります。ただSPD PROGRAMMERを使う場合は数万円掛かりますから、それに比べると安いものでしょう。

 

実際の作業は以下の3ステップで完了します。実際の作業時間としては10分も掛かりません。

1.SPDデータ保護(SPD Data Protection)の有無の確認

2.SPD情報のバックアップを取る

3.SPDを書き換える

 

【注意事項】

SPD書き換えに失敗した場合、メモリが破損する恐れがあります。

また成否を問わずメーカー保証は効かなくなります。

作業の際は必ずメモリを1枚だけ挿して行ってください。複数枚挿した場合、他のメモリのSPD情報もまとめて上書きされる可能性があります。特に異なる製品のSPD情報が上書きされるとメモリが破損しますのでご注意ください。

 

 

【書き換え手順】

1.SPDデータ保護(SPD Data Protection)の有無の確認

  SPDデータ保護の有無はThaipoon Burnerのメニュー左上にある「EEPROM」→「Data Protection Check」から確認できます。

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「EEPROM」→「Data Protection Check」

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SPD Data Protection Check

 00h-71h/80h-FFh/100h-17Fh/180h-1FFhの部分が「Unprotected」になっていれば保護は無いので問題ありません。手持ちのCorsairのメモリやSamsungのメモリでもSPD Protectionは無かったので、もしかしたらあまり気にする必要はないのかもしれません。この確認に関しては無料版のThaipoon Burner DEMOでも確認可能です。

 

2.SPD情報のバックアップを取る

  SPD情報を書き換える前に必ずバックアップはとりましょう。私の場合はCorsair製メモリにSamsung製メモリのSPDを誤って書き込んでしまい、文鎮化寸前だった際の修復に役立ちました…

SPD情報のバックアップは「File」→「Save Dump As…」から任意の場所に.thpファイルとして保存できます。

 

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「File」→「Save Dump As…」

 

3.SPDを書き換える

  F9キーもしくはメニューの「Editor」を押すことでTiming Table Editorを開くことができます。

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Timing Table Editor

上記の画像で表示されているのは2666MHz CL19のプロファイルです。tCLの右にある「Supported」のチェックを外すことで表示中のプロファイルを無効化できます。またtCLの値を変更することで各プロファイルを表示することができます。

今回は2666MHz CL20/2666MHz CL19/2400MHz CL18/2400MHz CL17のプロファイルを無効化するので、tCLが20T,19T,18T,17Tのチェックをそれぞれ外します。

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Timing Table Editor

チェックが外し終わったら「Apply」を押します。

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SPD Data Write

そうするとSPD Data Writeという画面が開くので、下にある「Write」を押すことで書き込みが始まります。

メモリを複数枚挿している場合、「EEPROM Location」から書き込み先のメモリを選択、「Write to all SPD EEPROM Devices」で挿しているすべてのメモリにデータを書き込みます。SPD情報を異なるメモリに書き込むと故障しますので、必ずメモリは1枚だけ挿して作業を行ってください。

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書き込み中

書き込みが始まると画面の右下に「Writing SPD Byte:xxx」という表示が現れます。20秒ほど待つと「Completed in xxx sec」という表記に変わり、作業完了です。