電電学生の脳内メモ帳.

電気電子工学生の脳内メモです。

2020/12/25 Z170 Extreme4 VRM 温度計測

2020/12/25

 ※これは個人的な趣味の記録のために書いている日記です。他者が読むことは想定していませんのでご了承ください。稚拙な文章や内容の誤りを多く含みます。また個人が特定できる情報が含まれていることがありますが、知り合いがこのブログを見つけてしまった際はスルーしていただけると助かります。

 

 先日発生したクロックの急低下は、VRMフェーズの過熱によって発生するVRサーマルスロットリングが原因だとわかった。しかし使用しているZ170 Extreme4はVRM 温度センサーが(恐らく)ついておらず、全く温度がわからないままだった。マザーボードの仕様書を探したものの、VRM温度センサーに関する記載はなく、VRサーマルスロットリングの閾温度の情報すら得られなかった。そこで今回は温度計を使用してVRMヒートシンクの表面温度の測定を行い、大まかなVRM温度、閾温度の確認を試みた。

 

  当初は非接触温度計を使用する予定だったが、予算の都合上今回はサーミスタとテスターで簡易温度計を自作し、測定を行った。

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今回使用したサーミスタ

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VRMヒートシンクサーミスタを設置した様子

サーミスタは秋月電子通商で1つ¥60の103JT-025を使用した。今回はサーミスタを直接テスターに接続し、測定した抵抗値から温度をExcelで算出した。本来はサーミスタをクリップ等で強固に固定する予定だったが上手くいかなかったため、やむを得ずマスキングテープで固定した。測定条件、手順は以下の通りである。

 

【PC構成】

CPU:Core i9-9980HK ES QQLS All Core 4.7GHz 1.26V

M/B:ASRock Z170 Extreme4

Cooler:MasterLiquid ML240L RGB

 CASE:Master Box Lite 5

FAN:MF120R RGB 120mm x3 (ラジエーター用x2、排気用x1)

 

【測定環境】

室温:23℃、ケース側面パネル解放

 

【実験手順】

1.アイドル時温度測定

(1) PCをアイドル状態で10分間放置する。(運転準備)

(2) さらに10分アイドル状態で放置する。

(3) サーミスタ(103JT-025)とテスターを使用して抵抗値の変化を記録する。記録した抵抗値から温度を算出する。

 

2.高負荷時温度測定

(1) PCをアイドル状態で10分間放置する。(運転準備)

(2) 10分経過時点でCPU-Zの"Stress CPU"でCPU使用率を100%にし、VRMに負荷を20分間掛け続ける。

(3) サーミスタ(103JT-025)とテスターを使用して抵抗値の変化を記録する。記録した抵抗値から温度を算出する。

 

温度の算出には以下の式を利用した。

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  以下の画像はアイドル時のVRMヒートシンク表面温度の推移である。

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アイドル時 VRMヒートシンク温度

温度は40℃程度で安定していることがわかる。また高負荷時の温度推移を以下に示す。

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CPU高負荷時 VRMヒートシンク温度

CPU高負荷時はVRMヒートシンク温度が上昇し、負荷を掛け始めてから425秒後、70.4℃でVRサーマルスロットリングが有効になった。その後も温度は上昇を続け、最終的に約75℃に収束した。

  70.4℃でVRサーマルスロットリングが有効になったが、この温度はVRMヒートシンクの表面温度でしかなく、VRM温度と等価ではないことに注意しなければならない。サーミスタの固定方法もかなり杜撰だったため、VRM温度は80~90℃にまで達していた可能性もある。

   ファンを使用したVRMの冷却効果を調べるため、120mmファンでVRMヒートシンクに風を当てたときの温度推移も測定した。

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120mmファンでVRMヒートシンクを冷却した

このときのアイドル時の温度、CPU高負荷時の温度推移を以下に示す。

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アイドル時 VRMヒートシンク温度 (ファン有)

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CPU高負荷時 VRMヒートシンク温度 (ファン有)

アイドル時の温度は30℃程度であり、ファンがないときに比べて約10℃低下していることがわかる。またCPU高負荷時は50℃程度に収束し、VRサーマルスロットリングは発生しなかった。したがってファンを用いてVRMヒートシンクに風を当てたとき、VRM温度は低下し、VRサーマルスロットリングを防ぐことができるとわかった。

 

【総評】

  ファンでVRMを冷却しない場合、ヒートシンク表面温度はアイドル時40℃程度、高負荷時は約75℃に収束した。サーミスタの設置方法の杜撰さなどを考慮すると、VRM温度は80~90℃にまで達していた可能性がある。またファンを用いてVRMヒートシンクを冷却した場合、高負荷時の表面温度は20℃以上低下し、VRサーマルスロットリングの発生も防ぐことができた。ファンでのVRMヒートシンク冷却は、VRMの温度低下に大きな効果があると考えられる。